元乃木坂46の中田花奈さん(@nakada_official)は、現在プロ雀士としても活躍中。昨年は麻雀カフェ「chun.」をオープンさせました。経営者兼店長として、店の隅々にまで気を配る中田さんは、「お店に3日行かないことはない」という日々を送っています。

中田花奈
元乃木坂46の中田花奈さん
 取材日も、終わった途端に携帯のアラームが鳴り、「お店でやることがあるので、そのリマインドで……」と恥ずかしそうに言った中田さん。アイドル時代についてお話を聞いた前編のインタビューに続いて、麻雀カフェオープンへの想いを聞きました。

麻雀カフェ、構想は乃木坂卒業前から

――麻雀カフェに関して、具体的に動き始めたのはいつ頃からですか?

中田花奈(以下、中田):乃木坂46を卒業する前です。乃木坂で自分がやりたいことが全て叶ってしまって、このままだと卒業後にすることがないなと考えた時、やりたいのが雀荘だったんです。卒業前から物件の内見にはめちゃめちゃ行ってました。ただ、物件探しは難航しましたね。いいなと思っても、風営法の関係でできないとか。

――開店にかかるお金は、自腹で?

中田:はい。乃木坂時代は、洋服ぐらいしかお金を使ってなかったんです。実家暮らし歴も長かったので。雀荘のために、計画的に貯めたというわけでもなく。

「不安を考えすぎないから行動できる」

中田花奈
麻雀カフェ「chun.」
――カフェという形態にした理由を教えてください。

中田:「Mリーグ」(麻雀プロリーグ戦)のパブリックビューイングに行った時、その盛り上がりがすごいなと思ったのと、人と麻雀見るってこんなに楽しいんだと体感したんです。私はいつも1人で(対局を)見ていたので、誰かが一緒に見てくれたら嬉しいし、みんなにもその楽しさを味わってほしい。理想はスポーツバーの麻雀版、みたいなイメージの雀荘でした。麻雀をする人だけじゃなく、しない人もいていい。だから、麻雀“カフェ”がいいなと。

――行動力がすごいです。

中田:先に不安要素を考えすぎないから、行動できるという側面はあるかもしれません。思ったまま行動してるだけで、かつ一度やろうと決めたことに対しては、躊躇せずに動くタイプではあります。自分の好きなように生きたいだけなんです。

「私は“そっち側”じゃなかった」

中田花奈

――カフェの内装にもこだわったとのこと。

中田:削れるところと、ここだけは譲れないというところは、内装業者さんとすごく相談しました。バーの雰囲気を出したかったので、ネオン管やハイテーブルも、結構高いんだけど、これは絶対作ってくださいってお願いして。

 そうやってひとつひとつ作っていくのは、やりがいがありました。またそれで、ますます自分は、表に出る人向きの性格じゃないんだなと実感もしました。私は“そっち側”じゃなかったんだろうなと。

――アイドルとは別の〈やりがい〉でしたか?

中田:でも、最終的に人に評価してもらうところは、似ているかもしれません。アイドルとしてファンが増えるのも、お店にお客さんが増えるのも、ある意味似ている。だから、意外と、やっていることは同じなのかもしれませんね。アイドルよりお店のほうが、評価ポイントがわかりやすい、という違いはありますが。

石橋貴明、加賀まりこ…麻雀が繋いだ縁

中田花奈

――アイドルを卒業し、麻雀関係のお仕事をする中で、新しく発見したことはありましたか。

中田:前編でお話ししたように、アイドルは「正解」がわからないのが辛かった。でも、麻雀でファンがつくかどうかは、結構わかりやすいんです。良い打牌をしたら褒めてもらったり、すごいねって言ってもらえたりするのはすごく嬉しくて、もっと勉強しようっていうモチベーションに繋がります。

 プロで食べていけるのは、本当に一握りなんですよね。そういう世界で、私がアイドル時代から麻雀番組に出させてもらっているのは、すごいことなんだなってプロになってから改めて実感しました。ありがたいなと思います。

――自分にとって、麻雀があってよかったなと思いますか?

中田:麻雀は突き詰めがいがすごくあるし、コミュニケーションツールとしても、普段出会えない人たちと出会えるもの。麻雀をしていたからこそ、名前を覚えてもらえることもあります。例えば番組でご一緒した石橋貴明さんと麻雀のお話ができたり、お店に加賀まりこさんが来てくださったこともあったんです。そういうご縁は、麻雀が繋いでくれているなと思いますね。

多店舗展開はあまり考えてない

中田花奈
中田花奈さん、麻雀カフェ「chun.」にて
――カフェだけを利用される方も結構いるのでしょうか?

中田:むしろ、カフェ利用のほうが多いです。アイドルでよかったなと思う瞬間のひとつなんですけど、メニューについても、美味しいか美味しくないかというより、“私の”作るメニューを食べに来てくれる方も結構いてくださる。今まで人に振る舞うことなんてなかったので、自分の作ったものを「美味しいよ」って言ってもらえると、嬉しくて、楽しくやれていますね。

――2店舗目、3店舗目の構想は?

中田:もともとの夢は「雀荘のママ」。お店に立ちたいということが発端で、稼ぎたいという欲でお店を作ってないんですよね。なので、多店舗展開はあまり考えてないんです。

 ファンの方からはよく「大阪に作って」「名古屋に作って」って言われるんですけど、そうすると私がなかなか行けなくなっちゃう。まだ東京のどこかにつくるとかだったら、可能性はなくないですけど……いや、ほぼないかな。

タレント業がお店のためににもなる

中田花奈

――アイドル時代には、芸能界引退も考えていたとのこと。今は考えませんか?

中田:今はタレント業をすることがお店のためにもなる。芸能活動を続ける理由ができた気がしています。

 ただしお店は、どうしても経営が難しくなったらとか、心がぐちゃぐちゃになっちゃうようなことがあったりとかしたら、無理に続ける必要はないと思ってもいます。予期しないことは、いっぱい起こる前提。いつ終わりになるかわからない、という可能性も見据えてはいます。

 自分の性格上、ここしかないと思っちゃうと思いつめてしまうので、それぐらいのスタンスのほうが、自分に合ってるのかなと。常に“逃げ道”があるようにはしていたいと思っています。

「逃げ道」はあったほうがいい

中田花奈

――逃げ道を用意しておいたほうがいいというのは、アイドル時代に学んだことですか?

中田:アイドル時代、かもしれないですね。その時は自分にとって逃げ道がなかったから、苦しくなったというか。なので、今は「無理をしない」。

 一方で逆説的になりますが、アイドル時代、無理をしたからすごくいい経験になったし、得られたものもたくさんある。「経験」と「無理」を天秤にかけた時、そのバランスが取れていないと続けられないことを学びました。今は、無理せず続けられるバランスを取れるように、自分にとって「ちょうどいい」ぐらいでいられるように、働けたらいいなと思っています。

<取材・文/吉河未布 撮影/星 亘>

【中田花奈】
1994年、埼玉県出身。2011年に乃木坂46の第1期生オーディションに合格。2012年2月に1stシングル『ぐるぐるカーテン』で選抜メンバーとしてデビューし、その後2020年10月に卒業。2021年より麻雀カフェ「chun.」経営者兼店長、日本プロ麻雀連盟に所属のプロ雀士としても活動。著書に『「バフェットの投資術」を学んだら、生き方まで変わった話。』(PHP研究所)が発売中

【吉河未布】

編集者・ライター。ネットの海の端っこに生きています。気になったものは根掘り葉掘り



(出典 news.nicovideo.jp)